今日の「猫」便り-2

 In 今日の便り

先日、変な夢を見ました。こんな夢…。

ある朝、1匹のメス猫「千代子」が、白色の毛並みをフサフサとなびかせながら近づいてきました。見ると小さな肉球で上手にクリーム色の歯ブラシを掴んでいます。千代子は歯ブラシを差し出し、ふてくされた表情でこう言いました。
「使いづらいんだよね、これ。あたし犬歯長いし、前歯短いし。磨きづらいんだよね、これ」
そして眉間に皺をよせ、「もう、ここにはいられない」と、捨て台詞を残して外に飛び出していきました。
私は猫の後を追いました。田んぼのまわり、森の中、薮をかき分け必死に探しました。「千代子~、千代子~!」。すると、足下でキラッと何かが光りました。千代子のクリーム色の歯ブラシです。きっと放り投げて逃げていったのでしょう。私は歯ブラシを拾って、泣きながらこう叫びました。
「もどってきて千代子~! 新しい歯ブラシ、買ってあげるから~」

はっと目が覚めました。慌てて周囲を見渡すと、千代子はいつものように私の布団の上でぐっすりと寝ていました。よかった…。私は千代子の身体を撫でてこうつぶやきました。
「新しい歯ブラシ買ってあげるから、まだここにいてね」

猫が歯肉炎になってから、毎日、猫と格闘し歯磨きしていたせいで、こんな変な夢を見たのかもしれません。後日、私はちょっと高価な猫用の歯ブラシを買ってあげました。そして穏やかな表情で寝ている猫を見つめながら、彼女が見ている夢を想像しました。

「いいね、この歯ブラシ。気に入ったわ。まだここにいてあげる」
ストーンアートの作品「猫が見る夢」現在、製作中。近日公開です。

【猫豆知識】-1

  • 猫の歯は、ごく小さい前歯「切歯(門歯)」が上下に6本づつ。切歯は、獲物の毛や羽をむしるのに使われ、猫餌を食べるときには使わない歯。大きく鋭い犬歯(キバ)が上下に2本づつ。犬歯は獲物を突き刺したりとどめを刺すときに使われる歯。左右の「臼歯」(人間の奥歯にあたる歯)が上下に14本。裂肉歯ともいわれ、肉を引き裂くための歯。ギザギザ交互に噛み合うようになっていて、噛み合わせると上下の臼歯がずれてこすれ合い、肉がちぎれる仕組み。人間とは歯の質も用途も違うので、観察してスケッチしたりすると、その生態がよくわかります。

PROFILE

  • 松浦裕子  ライター、ネイチャー・アーティスト。


    アニメーションの背景画を学び、宮崎駿監督の「となりのトトロ」「魔女の宅急便」などのにも参加。その後、絵本編集や雑誌ライターなど幅広く勤める。15年前よりストーンアートのワークショップをスタートし人気を集める。2017年夏より「自然のワークショップ・スタジオペチカ」をオープン。著書に「こだわりの豆菓子」(小学館、以下同)「寝台列車の旅」「つるの剛士のこどもをゲンキにする本」、構成編集に「生活探検大図鑑」「忌野清志郎・サイクリングブルース」「旅する清志郎」など多数

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